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日本人の9割が知らない『意識的トレーニング』と『無意識的トレーニング』とは

 外国語を習得するためには

  • 意識的トレーニング
  • 無意識的トレーニング

の2種類のトレーニングをしなければいけません。

今回はこの2種類の解説と学習段階に応じた割合などを解説していきたいと思います。

 人間は生来言語を無意識に習得する能力を備えています。赤ん坊は意識的に言語を学ぼうとしているわけではなく、大人の言動を真似ながら無意識に習得することができます。幼少期から英語の絵本などを読ませて英語を学習させる「多読」などもこの無意識的トレーニングになります。

 しかし、この能力は年齢とともに衰えていきます。正確には、年齢を重ねるから衰えるわけではなく、新しい言語を覚えることをやめるため、その能力を司る脳の細胞が死滅していきます。使わない脳細胞は必ず死滅するものです。

 ではある程度の年齢になってしまってからは、言語の無意識的な習得はできないのでしょうか?

答えは、”No”です。

一定の年齢に達してから言語を無意識に習得する可能性は極めて低いです。筆者の感覚ですと、1つの母語しか話せない人間が、外国語を無意識に習得できる年齢は、せいぜい10歳くらいまででしょう。

「週に1回の英会話」実は意味がない?

 では、10歳までに英会話に通わせれば、英語を習得できるでしょうか?

これも答えは”No”です。様々なデータから、週に1、2回程度の英会話教室に通ったところで習得率が変わらないことは証明されています。

あくまで統計的にですが、

小学生で週に1、2回英会話に通っていた学生とそうでない学生が、中学生になった時に英語の成績を比べたところ、優劣を決定付ける結果は得られたかったそうです。顕著に差ができたのは、週に4回以上通った場合だけでした。

 つまり、無意識に英語を習得させたい場合は、週に最低でも4日は英会話に通わせなければ効果がないことを意味します。

 ここで最も効果がある方法は、「英語圏の国に行ってしまう」ことです。しかしこれには大きなリスクがあります。幼少期の頃に行けば問題ありませんが、小学生くらいになると、母国での国民性が馴染んでくる頃で、いきなり違う国民性を持つ国に立たされれば、鬱になる可能性が高くなります。現に多くのバイリンガルは少なからず鬱を経験しています。中には対人恐怖症になり、英語習得どころではなくなってしまうケースも少なくありません。もし、英語を習得させるために、英語圏へ移住することを考えているのなら、お子さんの年齢があまり高くならないうちが良いでしょう。年齢が上がるにつれ、鬱のリスクが高まり、習得率も悪くなります。

このように、年齢を重ねるにつれて、無意識に言語を習得することは難しくなっていきます。

ただし、意識的な学習を行い、学習レベルが上がるにつれ、無意識に外国語を使用できるようになることも不可能ではありません。

9割の日本人が知らない意識的トレーニング

 それでは、一定の年齢がきてから外国語を始めた人はどうすれば良いでしょうか?

その場合は意識的なトレーニングをする必要があります。

意識的なトレーニングとは簡単に言ってしまうと、英語を母語(日本語)に直したり、日本語を英語に直す訓練です。

具体的なトレーニングとしてはサイトトランスレーションなどがあります。

英語を聞いたり読んだりしたら、頭の中で母語(日本語)に直し、書きたい話したい内容を日本語で考え、それを英語に意識的に直すトレーニングのことを言います。

 実は、ある程度の年齢から英語を英語で理解することは不可能ですので、母語を挟んで理解をしなければ外国語の習得はできません。

 筆者は英検®︎1級でTOEIC®︎では満点を持っていますが、英語を英語で理解することはできません。あくまで英語から日本語、日本語から英語に直すスピードが速いだけなのです。

ですので英語を読んだり聞いたりしたら、頭の中で解釈する時は日本語ですし

英語で書いたり話したりする時は、まず日本語で言いたいこと、書きたいことを考え、それを瞬時に英語に直しています。

ひたすら頭の中では通訳のようなことをしているわけです。

筆者のように10代から日本にいながら英語を習得しようと思ったら、この意識的トレーニングをしなければ習得の確率は極めて低いわけです。

意識的学習がいずれ無意識に

 ですが、この意識的学習は、レベルが上がるにつれてあまり意識しなくても行えるようになります。実際には頭の中では日本語と英語の変換が行われていますが、それが無意識に行えるようになるのです。

また、知らない文を読んだり、ニュースを聞いたりなどして、初めて触れる英語を増やしていくことで、無意識に英語力を高めることもできます。もちろんこれはかなり上級者になってからの話です。

 そのため初心者がシャワーのように英語を聞いたからといって、無意識に話せるようになるというミラクルはあり得ないのです。

英語が使えないのは教育現場にも問題がある

 このような事実があるにもかかわらず、なぜ教育現場では生かされていないのでしょうか?

様々な要因がありますが、大きな理由は2つです。

 1つ目は、多くの教員がそもそも英語を習得していないことにあります。故にどのようにしたら英語を習得できるのかを理解していないのです。受験問題の解き方や英語のルールを教えることは大抵の教師にもできます。ただ、サッカーのルールを知っていることとできることが違うように、英語もルールや知識があるからと言っって使えるかはまた別の話なのです。知識があるにもかかわらず、多くの教員の英語力が乏しいという現実があります。

 2つ目の理由は、学習環境にあります。多くの学校では1つのクラスに生徒が35人います。さらに教員は1日に数クラスの授業を持っています。たとえ英語を習得している教員がいても、この人数に対して一人一人適切な学習を提示していたら時間が足りません。そのため、どのレベルに合わせているかもわからない、とりあえず全員が受験で必要になりうる項目を扱うわけです。ですが、学習と言うのは学習者の学習段階に合わせたペースで行わなければ効果は半減します。クラスには様々なレベルの生徒がいます。全員に合わせた授業を行うことは不可能ですし、教員が行う授業ペースにぴったりの学生は、クラスの中に2割といないでしょう。ほとんどの学生にとっては授業ペースが速かったり、遅かったりするわけです。これでは時間的効率も悪くなるのはいうまでもありません。しかし、これは教員の負担を軽くしなければ解決することはできないのです。

適切な専門機関へ行く

 現在では外国語を習得する研究「第2言語習得」の重要性が認知され、多くのいわゆる「コーチングスタイル」のスクールが増えています。自分に合ったトレーニングを作成してもらえ、その進捗状況なども細かく指導してくれます。「学校だけでは英語を習得できない」とは言いません。ただ、自分に合った学習法を見つける可能性は高くありません。それならば、短期的にでも自分に合った学習法を教えてくれる専門機関へ行くのも良い手段だと思います。

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